モルモット(2週齢、雄)の肝臓の右葉から肝静脈を剥離してストリップ標本を作製した。その標本を、シリコンを張ったチャンバーにピン止めし、37度のクレブス液灌流液中に置いた。標本には枝分かれした血管に繋がる穴が開いており、その穴に張力トランスデューサーを引っ掛けて、その張力の変化を測定した。標本の両端に置いた白金電極を用いて、標本に経壁神経刺激(持続時間50 マイクロ秒、頻度20 ヘルツ、1 秒間)をすると、その張力が一過性に増大する反応を見せた。この一過性の収縮はテトロドトキシン存在下では見られなくなった。 この収縮は、フェントラミン存在下では大きさが抑制され、プロプラノロールを追加投与すると見られなくなった。一方、アトロピン存在下では収縮の持続時間が短くなり、グアネチジンを追加投与すると見られなくなった。フェニレフリン(1~10マイクロM)は濃度依存的に収縮を起こし、その上にイソプロテレノールを追加投与すると弛緩を起こした。ノルアドレナリン (1~3 マイクロM)は濃度依存的に収縮を起こしたが、10 マイクロMでは逆に収縮が抑制された。アセチルコリンは収縮を起こしたが、フェントラミン存在下でもアセチルコリンはさらに収縮を増大した。以上の結果から、モルモット肝静脈はアドレナリン作動性およびコリン作動性の神経支配の興奮性の神経支配を受けており、アルファ容体とムスカリン様受容体が興奮性の、ベータ受容体が抑制性の反応を担っていることが示唆された。
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