吸入麻酔薬は中枢性呼吸調節機構に作用して呼吸を抑制する。また、吸入麻酔薬の麻酔作用はGABA受容体を介していると言われている。しかし、過去の論文ではGABA受容体を介した機序だけでは麻酔薬の作用を完全には説明できていない。最近、覚醒-睡眠サイクルを司る覚醒作用を有する神経ペプチドオレキシンが吸入麻酔薬の睡眠作用に関与していることが指摘され始めている。そこで、本研究では、新生ラット摘出脳幹標本を用いてオレキシンの中枢性呼吸調節機構における作用機序を解明した。オレキシンは前吸息性ニューロンおよび吸息性ニューロンを脱分極させるおよび膜抵抗を低下させることで中枢性呼吸調節機構を刺激していることが明らかになった。また、呼息性ニューロンを脱分極させることで呼息サイクルを早めていることで中枢性呼吸調節機構を刺激していることが明らかになった。
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