研究課題/領域番号 |
23791734
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
児玉 光厳 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (00597528)
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キーワード | 8307 |
研究概要 |
近年まで麻酔薬による作用は可逆的であり遺伝子発現、蛋白発現には影響は及ぼさないと信じられてきた。しかし2003年にJevtovic-Todorovicらはラットを用い、通常の臨床で新生児、幼児に使用されている麻酔薬の混合でアポトーシスが起き、成長後の記名力障害が起きることを発表した。また2009年に我々のグループは吸入麻酔薬であるセボフルラン暴露が生後6日目のマウスの脳にアポトーシスを惹起し、成長後の記名力障害のみならず社会行動の異常を起こすことを発表した。特にこの社会行動異常は自閉症に関わっている可能性を強く示唆するものであった。また2009年にWilderらは人においても4歳に至るまでに複数回全身麻酔を行った者は成長後の学習障害を起こすことを報告している。新生児や幼児が外科的手術を受ける際には麻酔薬は必要不可欠である。我々の研究グループは本研究の科研費による補助期間において①臨床使用されている吸入麻酔薬間の毒性の比較②水素による本毒性の救助効果、をAnesthesiology誌に報告してきたが、本年母性行動への悪影響を発見しこれをAnesthesiology誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床的に一般的に使われている吸入麻酔薬の毒性の比較、水素による本毒性の軽減効果、また本毒性の母性行動への悪影響の三点においてはAnesthesiology誌に報告してきたが、本毒性の拡散反射光計測を用いたミトコンドリアのプロトントランスポーターへの影響に関しては現在実験継続中である。更に本毒性のメカニズム解明のため神経軸索におけるTublar TransportをLive imagingにて撮影する試みも開始したが試行錯誤の段階である・
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、現在進行中のFisetinの本毒性に対するレスキュードラッグ効果を麻酔暴露直後のアポトーシス成長後の記憶障害、および酸化ストレスの原因とされるミトコンドリアのプロトントランスポーターの障害を拡散反射光計測を用い評価し、学術誌に報告するとともに、本毒性のメカニズムの本態を究明すべく、Microfluidic Chamberを用いたTubulartransportの障害によるミトコンドリアの機能不全の発症、Rhoファミリーのバランスの変化によるGrowscornの退縮を研究していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
既存の実験機材の使用および他の研究室からの機材のレンタルにて新規の実験機材の購入の必要がなかったため。また昨年度は年度途中よりUCSDに留学したため助成金を使用できない状況になっていた。 本年度、帰国後にQD-BDNFのLive imaging撮影のための顕微鏡付属機材の購入に使用する予定である。また各種実験消耗品および実験動物の購入に使用する。
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