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2011 年度 実施状況報告書

前立腺癌のアンドロゲン非依存性獲得機序におけるインスリンシグナルの分子病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 23791738
研究機関秋田大学

研究代表者

井上 高光  秋田大学, 医学部, 講師 (60375243)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードインスリン / 腎癌 / メタボリック症候群 / RENCA / mTOR / AMPK / メトフォルミン / ラパマイシン
研究概要

前立腺癌のアンドロゲン非依存性獲得機序におけるインスリンシグナル関与の分子病態を解析し、インスリンシグナル抑制による転移性去勢抵抗性前立腺癌の新たな治療戦略を模索する目的の研究を行う予定であったが、腎細胞癌の進展におけるメタボリックシンドロームの役割およびその改善による癌進展抑制の分子生物学的解明を主に行なっている。確立された腎細胞癌株(786-O, Caki-1, Caki-2, ACHN, RENCA)を収集し、蛋白を抽出した上でSDS-PAGEを行い、Western BlottingでそれぞれのIRの発現を確認した。IRが最も発現しているcell lineはRENCA, ヒト細胞で最も発現していたCaki-1について、MMTアッセイを用いてインスリン濃度―腫瘍増殖曲線を描いたところ、RENCAで濃度依存性に細胞の増殖を確認した。濃度の違うインスリン入り培養液中の細胞から蛋白を抽出し、in vitroでのインスリンシグナルの亢進をWestern blotting を用い現在証明しようとしている。Balb/c regularマウスを同カロリーの高炭水化物食群と低炭水化物食群に分け、インスリン抵抗性を糖負荷試験で、高インスリン血症を伏在静脈からの採血の上ELISAを行い証明した。このマウスの側腹部皮下にRENCA約5×105注射し、腫瘍増殖速度の差を測定したところ、高炭水化物食群で有意差を持って腫瘍増殖が速かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前立腺癌のアンドロゲン非依存性獲得機序におけるインスリンシグナル関与の分子病態を解析し、インスリンシグナル抑制による転移性去勢抵抗性前立腺癌の新たな治療戦略を模索する目的の研究を行う予定であったが、腎細胞癌の進展におけるメタボリックシンドロームの役割およびその改善による癌進展抑制の分子生物学的解明を主に行なっている理由については、腎癌研究の方がより臨床の実際に即しており申請者の興味を引いたことと、大学院生の研究内容としてふさわしいと考えたためである。様々な実験内容について、少しずつ結果が出てきていると考えている。この結果を明日につなげるために、積極的に実験を続けてゆきたい。

今後の研究の推進方策

今後は定期的採血した血液を用い、高インスリン血症、高IGF-1血症のELISAを行い証明する予定である。また腫瘍より抽出した蛋白を用い、Western blottingでシグナル解析を行って、腫瘍増殖がインスリンシグナルの亢進によることをin vitro およびin vivoで検証する。さらにこの腫瘍増殖モデルに、メトフォルミンおよびrapamycinを使用して治療し、mTOR抑制による腫瘍増殖抑制をシグナルレベルで検証する予定である。この研究により、現在のmTOR inhibitorの効果増進のための薬剤として、メトフォルミンを使用できる可能性がある。また当院で收集した腎癌患者の標本について、インスリンレセプター抗体を使用して免疫染色を行い、悪性度や深達度、予後との関連を統計学的に解析し、インスリンシグナルの癌伸展における影響を臨床的にも調査したいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

ほとんどの実験器具は揃っているので、主に消耗品に使用する予定である。マウスの購入費、飼育費、マウス投与薬剤の購入費、マウス飼料の購入費、抗体の購入費、細胞培養器具、薬品の購入費、ウエスタンブロット消耗品の購入費、ELISAキットの購入費、腎癌標本免疫染色の作業費、学会発表の為の旅費が主な使用計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 転移性腎細胞癌に対するmTOR inhibitorを含むSequential Therapyの経験

    • 著者名/発表者名
      井上高光
    • 学会等名
      日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      平成24年4月21日

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公開日: 2013-07-10  

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