研究概要 |
我々は脂肪濃度の違う3種類の食餌(高脂肪食、高炭水化物食、コントロール食)を与えた前立腺癌細胞株LNCaP担癌マウス xenograftモデルにおいて、高脂肪食を与えたマウスにおいてxenograft腫瘍増殖がもっとも促進されることを見出した。また3群の血清サイトカインや増殖因子(インスリン、IGF-I, IL-6, IL-10, MCP-1, IFN-g, TNF-a, and IL-12p70)を比較すると腫瘍増殖と相関をもって血清MCP-1が上昇することを見出した。それ以外の増殖因子、サイトカインに有意差を認めなかった。またxenograft腫瘍内のCCR2 mRNAレベルが血清MCP-1と腫瘍増殖と同様に高脂肪食群で有意に高値であることがわかった。またin vitroでは3群の食餌で飼育したマウスの血清でホルモン感受性前立腺癌細胞株の増殖能を検討すると高脂肪食マウスの血清で飼育した前立腺癌細胞株の増殖が有意に高く、またCCR2をsiRNAをもちいて発現抑制すると高脂肪食マウス血清での細胞増殖が抑制された。また同時にin vitro, vivoにおいてMCP-1シグナルの下流で活性化すると考えられるAKTのリン酸化が高脂肪食群で亢進していることも確認した。以上in vivo, in vitroの実験から高脂肪食摂取下の前立腺癌進展においてMCP-1/CCR2/AKTシグナルの関与が示唆され、論文化し発表した(Huang M, prostate, 2012).
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