研究課題/領域番号 |
23791740
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
沼倉 一幸 秋田大学, 医学部, 医員 (90566415)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / Xp11.2転座 |
研究概要 |
【目的】Xp11.2転座をともなう腎細胞癌(Xp11.2転座RCC)は、2004年、新たに成人腎腫瘍のWHO分類に加えられた。6種の転座が報告されており、その全てが染色体Xp11.2上のTFE3遺伝子を巻き込む転座で、TFE3融合蛋白が高発現している。従来の報告では、若年患者に多くみられことや、初診時から進行癌が多いことなどが特徴としてあげられているが、報告症例は少なく、臨床的特徴が明らかにされているとはいえない。Xp11.2転座RCCの頻度とその臨床的特徴を検討した。【対象】当科で1987年7月から2009年4月までに手術または生検を行ったRCC症例で組織標本が入手可能であった248例に対してTFE3蛋白の免疫組織染色を行い陽性例をXp11.2転座RCCと診断した。【結果】10例(4.0%)がXp11.2転座RCCと診断された。平均60.5歳、中央値59歳(42-79歳)、男女比=6:4、右:左=6:4、臨床病期:I 5例、II 2例、III 2例、IV 1例。病理組織は、全例、淡明細胞癌と診断されていた。初診時転移は、肺1例、リンパ節1例。再発時転移は、肺2例、肝1例。生存期間の中央値71.5ヵ月、5年全生存率88%、癌死は1例のみ。2例が癌あり、7例は癌なし生存。【考察】Xp11.2転座RCCは成人に少ないとされていたが、決して稀でない可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多施設の協力により国内最大規模の症例に対して免疫組織染色での診断を行うことができた。現在は免疫組織染色で陽性となった症例にFISHを行いXp11.2転座を確認している最中である。近日中に結果を解析できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、TFE3免疫組織染色陽性とXp11.2転座陽性は完全には対応しないことが分かっている。両者の相関係数などを調べるとともに、どちらがより臨床的な特徴を反映するのかを解析して行く。例えば、転座が確認できなくても免疫組織染色陽性だけで臨床的特徴の似通った腎細胞癌を見つけ出せるのであれば、転座の確認は不要となる。まずはXp11.2転座有する症例に対して、Arrat CGHなどの手法を用いて、治療の標的となる分子を探索して行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
Xp11.2転座を確認できた症例に対して、Array CHGを行う予定である。
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