研究概要 |
国内6施設から組織標本が入手可能であった973例を対象とし、Xp11.2転座をともなう腎細胞癌(Xp11.2転座RCC)の解析を行った。パラフィンブロックからえた組織標本にTFE3抗体(sc-5958)を用いて免疫組織染色を行い、染色陽性例に対して、split TFE3 signals using fluorescence in situ hybridization (FISH)を行いXp11.2転座を確認した。 Xp11.2転座RCC陽性例は29例(3%)(男17例、女12 例) で、年齢の中央値46歳 (22–73)、平均腫瘍径7.1cm、初診時StageIII以上14例 (48.3%)、初診時有転移12例 (41.4%)、平均観察期間32.5ヶ月であった。転移を有する14例に対する治療は、cytokine therapy、tyrosine kinase inhibitors (TKI)、免疫化学療法(IFNα, IL2, Gemcitabine) が、それぞれ8例、4例、2例に行われていた。奏功例は免疫化学療法の2例(100%)のみであった。TKIは奏功例がなかったものの3例(67%)がSDであった。一方、cytokineは治療効果が乏しかった。疾患特異的生存期間の中央値は、全症例で34.9ヶ月、有転移症例で22ヶ月であった。 Xp11.2転座以外の遺伝子異常の検討は、現在、継続中である。
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