研究課題/領域番号 |
23791741
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
関根 芳岳 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00516370)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | データベース |
研究概要 |
まずPC-3に対してシンバスタチンを投与し、細胞増殖、遊走、浸潤効果のある濃度をin vitroにて検証した(5μM)。次にin vitroにおけるシンバスタチン投与群(5μM)および非投与群のtotal RNA(miRNAおよびmRNA)をmiRNeasy Mini Kit (Qiagen)にて抽出し、そのtotal RNAを用い、miRNAマイクロアレイおよびcDNAマイクロアレイにて遺伝子発現の包括的な解析により、遺伝子の同定を行った。その結果、miR-375;ターゲットmRNAとしてMATN3、CENPM、PDE4B、HELLS、EFEMP1など、miR-210;ターゲットmRNAとしてESCO2、SCARA3、RAB3B、TMEM20など、ほかのmiRNAとしては、miR-148a, miR-22などがその候補として挙げられた。それぞれのmiRNAの発現変化は定量的PCRによって確認を行った。さらにそれらの候補miRNAをPC-3にトランスフェクションしたところ、miR-210では、細胞増殖・遊走・浸潤抑制効果、miR-375では細胞遊走・浸潤抑制効果を認めた。 また、ヌードマウスにPC-3を移植し、in vivoでのスタチンの効果も検討した。ゼノグラフト作成後、シンバスタチンを連日マウスへ投与(腹腔内投与)したところ、40及び100mg/kgの濃度で抗腫瘍効果を投与4週間で認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンバスタチンによって変化するmiRNAの同定を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
・候補miRNAによるターゲットmRNAの発現変化の確認;PC-3に候補miRNAをトランスフェクションすることで、アレイでピックアップされたターゲットmRNAが実際発現変化を起こすのかを確認する。・臨床検体における、スタチン内服がmiRNA発現に与える影響の確認;前立腺癌患者の、前立腺生検組織や前立腺全摘組織を使用し、同定されたmiRNA及びmRNAの発現を、スタチン内服群とスタチン非内服群とで、定量的PCRにより比較し、臨床検体でのスタチン内服の影響を検討する。・スタチン以外の、同定されたmiRNAの発現変化を引き起こす薬剤の探索;今回同定されるmiRNAがコレステロール低下作用に依存するものであれば、スタチン以外の高脂血症薬である、フィブラート系薬剤、プロブコール等によっても同様の遺伝子変化が起こる可能性が考えられる。そこで、まずはこれらの薬剤の抗腫瘍効果をin vitroで、MTS assayを用い検討し、またこれらの薬剤による、同定されたmiRNAの発現への影響を、定量的PCRにより検討する。同定されたmiRNAの変化がスタチンと同様に認められた場合には、スタチンとの併用によりmiRNA変化や抗腫瘍効果の増強の有無など、in vitro及びin vivoにて探求する。さらには、高脂血症以外にも、同定されるmiRNAの発現変化を引き起こすような薬剤を検索し、スタチンおよび他薬剤との併用などによる、miRNAに関連した前立腺癌治療および予防医学への応用にも発展させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記実験を行うために、試薬の購入を行う予定である。
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