研究概要 |
腎細胞癌株4種(A498, ACHN, Caki-1, 786-O)および正常腎細胞としてHEK293細胞を用い、STAT1発現の比較、ビスホスホネートのSTAT1抑制効果およびin vitroにおける治療増感効果を解析した。1)Western blot法により、各細胞株におけるSTAT1発現を解析した。4種の腎細胞癌細胞株はいずれもSTAT1を蛋白レベルで発現していたが、Caki-1は弱い発現のみであり、残りの3種が非常に強く発現していた。HEK293はSTAT1を発現していなかった。2)各腎細胞癌細胞株の放射線治療抵抗性をclonogenic assay法により解析した。4種の腎細胞癌株はいずれも放射線療法単独への治療抵抗性を示した。3)各腎細胞癌細胞株における、ビスホスホネート投与後のSTAT1(Westarn blot法)、STAT1 mRNA(Real time PCR法)を定量的に解析した。ビスホスホネート投与によりA498, ACHN, 786-OのSTAT1発現は蛋白レベルで抑制されたが、STAT1 mRNA発現は抑制されなかった。蛋白レベルによる修飾によりSTAT1発現が抑制されていることが示唆された。4)各腎細胞癌細胞株に対する、ビスホスホネート単独、放射線療法単独および両者併用での抗腫瘍効果を検討した。ビスホスホネート併用により、放射線療法への治療増感作用が示された(clonogenic assay法)。さらにその増感効果はSTAT1高発現株であるA498, ACHN, 786-Oにおいて認められ、弱発現株であるCaki-1では確認されなかった。5)STAT1高発現腎細胞癌株786-Oに対するSiRNAによるknock downは放射線増感効果を示し、STAT1低発現細胞株Caki-1に対するSTAT1強制発現は放射線抵抗性を増大させることを示した。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に必要とされる設備は設置済みであり、本年度は設備備品の購入予定はない。消耗品費として以下の項目を予定する。一次・二次抗体各種:計 500, 000、Western blot関連試薬:計 500, 000、細胞培養容器・培地:計 300, 000、実験動物購入費用(60匹):計 300, 000、実験試薬(シスプラチン、ジェムシタビン等):計 100, 000、実験試薬(ルシフェリン):計 100, 000、免疫組織染色関連試薬:計 100, 000、(消耗品費合計:計1900, 000)この他に、国内・国外旅費 計250, 000円、研究成果投稿関連費用 200, 000円を予定している。
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