X線照射後のLNCaP細胞において、マイクロアレイにて多数のmiRNAの発現変化が見られた。定量的リアルタイムPCRによるさらなる解析により、miR-19b、92a-1*、503の放射線刺激による顕著な発現低下が観察された。これらの相補配列を組み合わせたものを標的配列として、ルシフェラーゼ遺伝子の3’非翻訳領域に導入したプラスミドを構築し、LNCaP細胞にそれぞれ導入したところ、標的配列のないものと比較してルシフェラーゼ活性の減少が認められた。さらに、これらの細胞に10 GyのX線を照射した場合としない場合の発現を比較したところ、miR-503の標的配列を4コピー含むプラスミドあるいはこれらの3種のmiRNAの相補配列をランダムに組み合わせて作成した標的配列10-1を含むプラスミドを導入した細胞において、照射群でそれぞれ1.87±0.48 (mean±SD)倍及び1.46±0.14倍の発現増強効果を認めた。組み換えウイルスを用いて恒常的に遺伝子導入された細胞において、前章で構築した人工プロモーターとmiRNAの相補配列を含む組み換えウイルスベクターによるものにおいて、人工プロモーター単独のものと比較して増強効果の有意な改善を認めた。
|