研究概要 |
癌患者の血液中を循環する微量の癌細胞(末梢血循環腫瘍細胞Circulating tumor cell:CTC)を測定することは、癌の正確な病期診断のみならず治療効果判定に有用である可能性がある。泌尿器科領域では、進行性前立腺癌についてはその高い検出率から臨床応用への期待が高まっている。しかし腎癌については今まで特異的抗体がなかったため、CTC検出率が低く臨床応用されていないのが現状である。我々はこれまでに腎癌の細胞膜上にDeath Receptor(DR)-5が高率に発現していることを報告し、さらにDR-5に対するモノクローナル抗体を作成しin vivo,in vitroでの治療効果に関する知見を得ている。今回の研究の目的は、この抗DR-5抗体を用いて腎癌患者におけるCTC検出システムを確立することである。これにより、腎癌治療戦略構築に大きく貢献すると考えられる。 CTC測定には、べリデックス社(米国)のCell Search Systemを用いる。このsystemは蛍光標識抗体を用いて血液中を循環している極微量の癌細胞を識別することができる装置である。癌細胞を認識するために用いる抗体は通常抗CK抗体であるが、腎癌細胞の表面マーカーであるDR-5に対する蛍光標識抗体も併用することが本研究の特色である。この方法では、1検体で2種類の抗体(抗CK抗体and/or抗DR-5抗体)に染色されるCTCの判読が可能となる。
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