加齢に伴い尿失禁に罹患する患者は増加し医療コストの増大の一因にもなっている。我々は加齢に伴い増加するとされる TNF-α などの炎症性サイトカインが尿禁制の低下に関与するか検討した。繁殖リタイアラットを用いた実験では、加齢に伴い経産ラットの尿禁制の低下が認められ、尿道の閉鎖機能不全によるものが原因として考えられた。一方で尿道組織における TNF-α を始めとする炎症サイトカインの加齢に伴う発現の亢進は認められなかったが、細胞外マトリクス関連物質の発現は加齢に伴い低下していた。経産婦の加齢に伴う尿道の細胞外マトリクスのリモデリングの低下は尿道支持機構の減弱を来たし、腹圧性尿失禁の病因の一つになる可能性が示唆された。
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