研究課題/領域番号 |
23791768
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10295545)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | LNCaP / LNCaP-F10 / 細胞外低pH / アポトーシス |
研究概要 |
前立腺癌LNCaP細胞の亜株であるLNCaP-F10細胞について、本年度はLNCaP-F10細胞の性質を明らかにするために以下の検討を行った。1. LNCaP-F10細胞は低pH/低栄養(pH6.3/0.5%FBS)環境下においても細胞生存率の低下は観察されなかった。一方、親株のLNCaP細胞は低pH/低栄養により細胞死が引き起こされた。さらに、低栄養環境のみではLNCaP細胞の細胞死は観察されなかったものの、低pH環境のみにより細胞形態の変化と細胞死の誘導が認められた。また、細胞外の低pHによる細胞内pHの変化をpH感受性色素であるBCECFを用いて測定した結果、両細胞間で違いがなかった。2. 定常状態および低pH/低栄養環境における両細胞のAkt、Erk1/2、p38、AMPK、mTORの細胞内シグナル系の活性について、リン酸化特異的抗体を用いたwestern blot法により評価した。その結果、検討した条件では何れの場合においても細胞内シグナルの活性に両細胞間での大きな違いを観察するに至らなかった。3. LNCaP細胞で観察される低pH/低栄養環境下での細胞死のタイプを判定する目的で、アポトーシスをDNA fragmentation assay、procaspase-3およびPARPの限定分解、オートファジーをLC3-IからLC3-IIへの変換を指標に判定した。その結果、LNCaP細胞で観察される低pH/低栄養環境下での細胞死はアポトーシスであることを明らかにした。以上の結果から、LNCaP-F10細胞は低pHによるアポトーシス誘導に対し抵抗性をもつ細胞であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、「研究実績の概要」に記したように、おおむね当初の研究実施計画に沿った実験を遂行することができ、かつ、適切な実験結果を得ることができたため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究実施計画通り、平成24年度はLNCaP-F10細胞の各種抗癌剤に対する感受性について解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の使用計画の通り、試薬等の購入および学会発表のための旅費への使用を計画している。
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