皮膚知覚と膀胱知覚の関係について、二分岐軸索をもつ後根神経節細胞が存在する可能性について検討した。その結果、同一の後根神経節の感覚神経細胞から伸びる軸索が途中で分岐し、二分岐軸索となり、膀胱と皮膚へ同時に投射する神経を逆行性神経トレーサーを用いた解析によって証明した。このことにより、膀胱からの知覚と皮膚からの知覚が一次知覚神経のレベルで混同されて中枢から見た場合に両者が区別の付かない形で認識されるのではないかと考えた。さらに、その二分岐軸索の一部に冷覚受容体として知られるTRPM8が発現していることを形態学的に証明した。また、電気生理学的検討によって、冷刺激およびTRPM8のアゴニストであるメントールが二分岐軸索の神経活動に関与することを明らかにした。
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