研究概要 |
1.具体的内容手術により得られてた膀胱癌臨床検体(134症例)の未染色スライドを作成し、抗MPHOSPH1, DEPDC1抗体、抗HLAclassI抗体を用いて免疫組織学的検討を行った。その結果、全例にMPHOSPH1, DEPDC1, HLA-classIいずれも発現を認め、腫瘍のグレードやステージと発現程度に相関は認めなかった。また、筋層非浸潤性膀胱癌の術後アジュバント療法としてBCG膀胱内注入療法とHLA-A24拘束性MPHOSPH1およびDEPDC1ペプチドワクチン併用療法(医師主導第2相臨床研究)を開始した。HLAキーオープン解析の結果、HLA-A24群において膀胱内再発率の低下を認め、ペプチドワクチン療法の臨床的有効性が示唆された。なお、ペプチド投与に伴う重篤な有害事象の発生は認めなかった。2.意義本ペプチドの構成された遺伝子(MPHOSPH1おおびDEPDC1)は膀胱癌臨床検体において恒常的に発現していることが判明し、理想的な腫瘍抗原と考えられた。また、HLA-classIの発現低下は認めず、ペプチドワクチン療法の効果を減弱させる可能性は低いと考えられた。臨床研究の結果、膀胱癌術後アジュバント療法としてペプチドワクチンの有用性が期待された。3.重要性MPHOSPH1およびDEPDC1遺伝子は正常主要臓器において発現を認めず、これら遺伝子由来ペプチドは、腫瘍抗原として最適であり、臨床的有効性も認められた。
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