研究課題
臨床試験で膀胱癌ペプチドワクチン治療を実施した患者の治療効果を予測するバイオマーカーについて検討した。①免疫染色法により腫瘍組織中の抗原(MPHOSPH1およびDEPDEC1)の発現を解析した。免疫染色による発現程度の評価は臨床効果をマスクされた研究者2名によって行った。その結果、発現の高い症例は、低い症例に比較して、非再発生存期間や全生存期間の延長を認めた。なお、HLA-class1の発現は全症例で高く、臨床効果との明らかな相関は認めなかった。②ELISPOT assayでワクチン投与前後の末梢血PBMCを用いてCTL誘導を解析した結果、CTLの誘導を認めた症例は、認めなかった症例に比較して、非再発生存期間や全生存期間の延長を認めた。一方、FACS解析によるCD8陽性細胞の分画の解析結果や免疫を抑制するとされる制御性T細胞の変動と臨床効果との明らかな相関は認めなかった。ただし、これらの解析はワクチン投与前と投与1コース後の2点のみの解析であり、免疫誘導には遅延効果が指摘されており、現在2コース以降での解析を行っている③ワクチン投与部位の反応(発赤、腫脹、硬結)を解析した結果、1コース目で反応を認めた症例は反応を認めない症例に比較して、非再発生存期間の延長を認めた。以上の結果より、ワクチン投与前の腫瘍組織中の抗原発現、ワクチン投与後のCTL誘導、注射部位反応が、ワクチンの治療効果の予測因子となりうると考えられた。蓄積されたデータを基に、その結果を国内学会等で発表し、研究結果を評価し論文を作成した。
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泌尿器外科
巻: 26 ページ: 344-349