研究課題/領域番号 |
23791789
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
萩原 正幸 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70464922)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / マウス膀胱癌同所性発癌モデル / ARB |
研究概要 |
Nishizawaらの報告(Int J Cancer. 2010; 127: 1180-7)を参考にC57BL/6マウスに対し0.05%N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine(Tokyo Kasei Kogyo, Japan)を含んだ飲水を継続的に摂取させることにより約20週間で浸潤性膀胱癌がほぼ100%のマウスに自然発癌することを確認した。0.05%N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamineによるマウスの膀胱発癌を経時的に観察し、Dysplasia(約16週)→CIS(約18週)→浸潤性膀胱癌(約20週)の発癌形式を認めることが分かった。26週の時点で30%に浸潤性膀胱癌による水腎症が出現、10%のマウスの死亡を確認した。しかしどの週数のマウスにおいても肺転移、肝転移、リンパ節転移は認めなかった。0.05%N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamineによるマウスの膀胱発癌様式を確認後、上記で示したマウス膀胱癌同所性発癌モデルを用いて、ARBによる膀胱発癌抑制効果についての検討を開始した。Candesartan 10mg/kgを粉末餌(CE-2)に混ぜ、0.05%N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamineを含んだ飲水の投与開始と同時に投与する群(15・20・25週間、n=5ずつ)、投与しない群(15・20・25週間、n=5ずつ)それぞれの群で同所性発癌を確認し、膀胱内腫瘍を摘出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamineを用いたマウス膀胱癌同所性発癌モデルの安定的な作成に予想以上に時間を要した。またマウス膀胱癌同所性発癌モデルの作成するに際し、当初、12週で自然発癌する予定であったが、実際は自然発癌するのに20週間必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)既にCandesartan(ARB)投与群と非投与群における経時的な自然発癌は確認済みで、自然発癌した腫瘍も検体として摘出をしている。その検体のパラフィン切片を用いて発癌形態や発癌の時期の違いなどを経時的にCandesartan(ARB)投与群と非投与群を比較検討する。またCD 34の発現を免疫組織学的に検討し、組織内の微小血管密度(MVD)・VEGFの血管新生抑制因子や促進因子の発現を免疫組織学的に検討行う。(2)膀胱癌臨床検体におけるARB投与後の再発腫瘍組織検体の免疫組織学的検討倫理委員会の承認を得た表在性膀胱癌に対するARBの治療効果の臨床検討で得られたTUR-Btの切除腫瘍検体の一部を用いて腫瘍摘出標本を作成する。ARB投与群と非投与群のGrade・Pathological Stageといった通常の病理学的因子を比較検討行うと共に、作成した腫瘍標本を用いてマウス実験と同様にCD 34の発現、組織内の微小血管密度(MVD)・VEGFの血管新生抑制因子や促進因子の発現を免疫組織学的に検討行い、臨床におけるARBの発癌への影響を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
摘出した腫瘍検体を用いた研究が主体となるため、ほとんどが各種抗体購入費、免疫染色試薬購入費、PCR抽出用試薬などの消耗品費となる。
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