研究課題
近年の生殖補助医療(ART)技術の普及と晩婚化、少子化の社会情勢により、ARTは一般的な不妊治療に定着している。これまでの研究で、1)メチル化インプリント異常の頻度は精子濃度、運動率と負の相関を示し、奇形率とは正の相関を認め、メチル化異常は、精子所見と相関することを明らかにした。また、2)メチル化異常の程度についても、重症型の乏精子症で最も高く、精液所見と相関することを確かめた。本年度はアンケート調査を基に、食事や生活習慣などの精子濃度減少をもたらす生活環境因子について明らかにした。まず、年齢およびBMI(ボディマス指数)に関しては、統計学的に有意な違いは認められなかった。しかし、加齢とともに乏精子症の頻度が高くなる傾向を示した。学歴では、高いほど乏精子症の頻度が高い傾向にあるが、受診する患者の傾向を反映しているのかもしれない。あるいは、社会のストレスが多い場合に精子減少と関連するのかもしれない。喫煙の有無に関しては、精子濃度との負の相関が示された。職業では、染料を扱う人に乏精子症の頻度が高い傾向はあるが、対象者数が少ないため、統計学的有意なものではない。また、炭酸飲料頻度が高いほど精子濃度が低くなる傾向がみられた(負の相関)。その他の飲料やコーヒーなどで有意な差は認められなかった。これらの結果より、精子数が減少する男性不妊症患者数の増加は、生活習慣が関連するかもしれないと予測された。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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