研究課題/領域番号 |
23791800
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
築地 謙治 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (40528155)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 子宮筋腫 / クルクミン / ヒト化モデルマウス / 細胞周期 / アポトーシス |
研究概要 |
本研究は、新規ヒト化マウス子宮筋腫モデルを用いた子宮筋腫治療薬の開発という課題で取り組んでいる。23年度の実施計画では大きく2つの研究を予定していた。研究1として「筋腫細胞増殖・線維化に対するクルクミンによる抑制効果のin vitroでの検討」である。クルクミンによる子宮筋腫細胞増殖抑制効果は既に報告しているが、さらなる詳細なメカニズムの解析を行った。23年度は細胞周期に関しクルクミンの関与をウエスタンブロットを用いてタンパクレベルで解析を行った。その結果、細胞周期を活性化させる分子であるCyclin D1およびCyclin D3、cdk4といった分子のタンパク発現がクルクミン添加により抑制され、逆に細胞周期に対し抑制的に働くp15、p16、p27といったタンパク発現が増加していることを確認した。これらのことからクルクミンは細胞周期に抑制的に働くことで抑制効果を示すことが示唆された。また、研究2である「ヒト子宮筋腫モデルマウスに対するクルクミンの効果の検討」も行った。この目的はin vitroで得られた子宮筋腫細胞増殖に対するクルクミンの抑制効果をin vivoでも確認することである。23年度はNOGマウスにヒトの子宮筋腫組織を移植する独自に開発したヒト子宮筋腫モデルマウスに対し、クルクミンを4週および8週間、経口投与しその効果を組織学的に検討した。結果、4週間の投与では変化が見られなかったが、8週間投与により移植組織片の変性、筋繊維の減少および膠原線維の増加がみられた。また子宮筋腫細胞の増殖に重要なエストロゲンおよびプロゲステロンのレセプターの発現が減少しており細胞増殖のマーカーであるKi67が減少、アポトーシスのマーカーであるTUNEL陽性細胞が増加していた。以上よりクルクミンがin vivoにおいても子宮筋腫増殖抑制を示し、それにはアポトーシスの関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1のin vitroの研究では細胞周期の検討以外にもホルモン・増殖因子に関する検討も行う予定であったが結果はまだ得られていない。しかし、震災により実験環境の復旧を行いながらの年度であったにも関わらずそれらに関しても既に取りかかっているため大きな遅れとは思われない。また、研究2のin vivoの研究は予定にあるほぼ全ての検討を終えており。非常に順調であった。また、24年度に行う予定であった検討項目についても既に始めており次年度も順調な研究遂行が期待できる。以上より総合しておおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度は東日本大震災の影響もあったが、現在では8割方研究機能は回復しているため、研究に精力的に取り組んでいく。24年度は研究1で結果が出し切れなかった検討項目について引き続き検討を続けていく。また、24年度の予定にあった研究3である「高活性型クルクミンおよび高吸収性クルクミンの吸収の差異および移植組織に対する影響の検討」を予定通り行っていく。既に高吸収性クルクミンに関しては投与実験も始めており、順調に遂行できるものと思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費の使用計画に変更は無い。ヒト子宮筋腫モデルマウスに用いるNOGマウスが非常に高価なため、大半が実験動物の費用となる。また、24年度は最終年度となるため、成果報告のための学会旅費および論文投稿の校正費などにも使用する予定である。
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