研究課題
本研究では卵巣がんにおける新規治療標的の探索を目的にして、がん遺伝子Mycの高発現と合成致死作用を持つ遺伝子を大規模siRNAスクリーニングを行う。Hit分子に関しデータベースおよびネットワーク解析を行った。これらの解析結果とスクリーニング結果、および低分子阻害剤の有無を検討し現在までにカゼインキナーゼ1e、WEE1、オーロラキナーゼAを対象分子として同定している。また卵巣がんの進展を評価できるモデルとしてin vivo imaging systemを使用してきたが、これに加えて小動物CT(日立アロメディカル)や小動物用MRIを使用した。本年度までの研究成果は以下のとおりである。(A): WEE1阻害剤MK1775、AuroraA阻害剤MLN8237、CK1e阻害剤IC-261を用いて、マウス卵巣がんモデルでの治療効果を測定した。卵巣がんモデルとしてin vivo imaging systemを用い癌性腹膜炎モデルを用いた。EFプロモーター下流でluciferaseを定常発現するレンチウイルスベクター(pLentiEFLuc/GFP-Zeo)より卵巣がん細胞株を樹立、xenograftとして免疫不全マウスに腹腔内注射した。薬剤投与の効果と副作用を評価した。(B):c-Myc発現量により選んだ6種の卵巣がん細胞株を用いsiRNAスクリーニングを行った。細胞生存率はPromega社のCell Titer Gloで細胞処理し、Luminescence測定値をコントロールとの相対生存率として計算した。siRNAスクリーニング後に1スクリーニング結果、2低分子阻害剤の有無、3がん形質との既知の関連情報の3基準をもとに検証実験にすすむ遺伝子を選択しネットワーク解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究の最も重要なprimary screeningが成功して、十分な候補遺伝子群が抽出できた。これらの遺伝子群には、今までc-Mycとの関連が知られている分子と役割の不明な分子群が混在している。これは研究の道筋が正しい事と、今後の研究の発展により新規治療標的を発見できる可能性が高い事を示していると考えている。
当初の研究計画に沿って、スクリーニングで候補分子として絞り込んだ遺伝子に関して、検証実験としてin vitroとin vivo両方で治療標的分子としての適性を確認する。
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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