研究課題
子宮内膜癌は腫瘍局所におけるエストロゲン合成が腫瘍の増殖促進に大きく関与すると考えられている。本研究はエストロゲン合成経路のうちスルファターゼ経路に注目し、STS阻害剤の有用性を検討している。前年度は代表的な子宮内膜癌細胞株であるIshikawaを用いて、エストロゲンの基質を添加すると細胞増殖能は有意に上昇しSTS阻害剤、Aromatase阻害剤で細胞増殖が抑制されることを確認した。本年度はSTSの発現が異なる細胞株を用いて同様の検討を行い、STS発現の有無による治療効果を比較検討することを目的とした。まず最初にSTS発現の異なる細胞株としてsawano、HEC1A、RL95-2と臨床検体より採取した間質細胞を用いて、基質としてE1Sを添加し共培養を行い、ERα、STS、EST、Aromatase、17βType1、17βType2の発現動態を各細胞株と間質細胞で確認した。共培養することにより何らかの相互作用があり単独培養と比較して各酵素の発現が上昇すると仮定したが有意な上昇を認めなかった。今後E1S以外のエストロゲンの基質や濃度の調整を行い再検討する予定である。またスルファターゼ経路における間質細胞の役割を確認する目的で、初代培養した間質細胞(5継代目)でERα、STS、EST、17βType1、17βType2の発現を見た。個々の間質細胞で発現状態にばらつきがあり、元の子宮内膜癌症例の背景と関連酵素の発現との間に明らかな関連は認めなかった。今後症例数を増やしてさらなる検討を重ねたい。今後、STS発現の異なる細胞株と間質細胞を組み合わせて実臨床における症例の多様性を再現しSTS阻害剤の治療効果を検討したい。
3: やや遅れている
本年度に行った実験が仮定と反する結果がでており予定が遅れる原因となっている。
最終年度は閉経後ホルモン依存性子宮内膜癌モデルマウスを作成し、Aromatase阻害剤とSTS阻害剤の効果を in vivoで検討し、個々の症例のAromataseやSTSの発現に応じてTailor madeな治療の可能性を探る。
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
日本臨床細胞学会雑誌
巻: 53(1) ページ: -
International Cancer Conference Journal
巻: 2(3) ページ: 154-156
10.1007/s13691-012-0080-8
International Journal of Clinical Oncology.
巻: - ページ: -
10.1007/s10147-013-0627-5
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌
巻: 29(1) ページ: 168-172
10.5180/jsgoe.29.168