研究課題
1.背景SIRTIは長寿と癌化の誘導という2面性の機能を持ち、その機能はDBC-1(Deleated in breast cancer-1)によって抑制的に調節されている。前年度はアポトーシス誘導時におけるSIRT1とDBC-1の関連性を詳細に検討した。最終年度は子宮内膜におけるSIRT1の機能解析を,特にE-cadherinとの関連性に注目して行うとともにSIRT1における発癌メカニズムを詳細に検討した。2.具体的方法及び結果(1)子宮体癌細胞株(Ishikawa, RL95-2)で遺伝子導入法によりSIRT1を強制発現させた所、E-cadherinの発現の増加が認められた。またsiRNA法によりSIRT1をノックダウンした際にE-cadherinの発現の低下が認められた。(2)SIRT1賦活剤であるレズベラトロールを添加した際にF-cadherinの発現の増加が認められた。またSIRT1阻害剤であるsirtinolを添加した際にF-cadherinの発現の低下が認められた。(3)クロマチン免疫沈降法によりIshikawa cellsにおいて、SIRT1はE-cadherinのプロモーターに局在することが確認された。(4)細胞接着能を検討するspheroid attachment assayにおいて、SIRTIを強制発現させた細胞株では細胞接着能の増加を認め、ノックダウンさせた細胞株では細胞接着能の低下を認めた。3.研究の意義E-cadherinは細胞接着を調節する際の主要な蛋白質であり、その発現が癌化、癌の転移と関連している事が報告されている。上記研究結果よりSIRT1がE-cadherinの発現を正に調節し、細胞接着能を増加させる可能性が示唆された。また子宮内膜のおける発癌、胚における子宮内膜接着能にSIRT1が関連している可能性がある。
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