研究課題/領域番号 |
23791815
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大石 元 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40401088)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 卵巣顆粒膜細胞 / ステロイド合成 / 卵胞発育 |
研究概要 |
本研究は、転写因子FOXL2がヒト卵巣顆粒膜細胞でのステロイド分泌の制御および増殖をどのように調節しているかを明らかにするものである。ヒト卵巣顆粒膜細胞の初代培養系および顆粒膜細胞腫細胞株を用いて、ヒト卵巣顆粒膜細胞でのFOXL2による転写制御機構を解明することを目的とする。(1)ヒト卵巣顆粒膜細胞初代培養系または顆粒膜細胞腫の細胞株を用いて、FOXL2を強制発現あるいはsiRNA法によるノックダウンした場合のステロイド合成および細胞の増殖分化に対する影響を検証する。(2)FOXL2と相互作用する転写因子を探索し、標的遺伝子上での転写制御機構を解明する。(1)ではsiRNAによりFOXL2の発現を抑制する系を確立し、ステロイドの測定系(EIA法)での測定を開始した。(2)では新規の相互作用因子を同定し、抗加齢因子であるSIRT1の発現を調節していることが明らかになった。本研究計画では(1)FOXL2によるヒト顆粒膜細胞での性ステロイド合成調節機構の解明、(2)FOXL2によるヒト顆粒膜細胞の増殖制御機構の解明、(3)卵胞の発育に伴うFOXL2の顆粒膜細胞での発現パターンの変化の解析、(4)顆粒膜細胞内でFOXL2と相互作用する未知の転写因子の同定とその機能の解析の4つを研究の軸として行う。本研究では、性分化に重要な役割を果たし卵巣の機能維持に重要な働きをするFOXL2をターゲットとして、ヒト顆粒膜細胞における機能を解析する。免疫組織染色にてヒト卵巣では顆粒膜細胞に発現が限定しており、黄体化によりその発現が変化する可能性があることが明らかとなった。また、FOXL2の関与する新しい転写調節機構をステロイド合成酵素のプロモーターアッセイで明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FOXL2の強制発現系あるいはノックダウンの系を確立し、ステロイド合成系の評価としてEIA系が安定的に施行できるようになった。またFOXL2に相互作用する因子を同定し、SIRT1 プロモーターでのFOXL2の転写活性を増強する因子であることを確認した。FOXL2抗体による免疫染色の系を確立し、ヒト卵巣ではFOXL2は顆粒膜細胞層に局在することが明らかとなった。FOXL2を安定的に発現するヒト顆粒膜細胞種由来のCOV434細胞のクローンを樹立した。
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今後の研究の推進方策 |
でに知られているSF-1,β-カテニンなどの因子はステロイド合成系に深く関与していると報告されているので、FOXL2との転写調節における相互作用も検討する。同定したFOXL2と相互作用する因子の結合部位を決定し、結合を消失した場合の機能的変化を解析する。FOXL2とSIRT1の相互作用により顆粒膜細胞の増殖が調節されていることを明らかにする。またヒト卵巣組織を用いて多嚢胞性卵巣症候群などの疾患でのFOXL2の発現の変化を観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養、ステロイド測定系(EIAキット)、分子生物学の実験試薬および消耗品:125万円論文別刷り、投稿時英文校正費:5万円海外での学会発表、旅費:20万円
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