本年度は、子宮内膜癌細胞と子宮内膜間質細胞とのエキソソームを介した細胞間コミュニケーションに関して、特にエキソソーム内包RNAの授受に注目し詳細な検討を行った。 1. 子宮内膜癌細胞にtargetのshRNAもしくはnon-targetのshRNAを導入し、各shRNAが子宮内膜癌の分泌するエキソソームに取り込まれていることを確認した。それらのエキソソームを子宮内膜間質細胞に添加し、targetのshRNAを含むエキソソームを添加した場合に特異的に子宮内膜間質細胞内でのtarget shRNAの発現上昇とtarget遺伝子に対する発現抑制が観察されることを確認した。この結果から、機能性のshRNAが子宮内膜癌細胞由来のエキソソームを介して子宮内膜間質細胞へと輸送されることが示唆された。 2. 子宮内膜癌細胞と子宮内膜間質細胞とのmicroRNAの発現プロファイルを比較し、子宮内膜内膜間質細胞の多くは子宮内膜癌細胞とは異なるクラスターに分類されることを明らかにした。 3. 子宮内膜癌由来のエキソソーム添加による子宮内膜間質細胞でのmicroRNAの発現量の変化を検討した。エキソソーム添加により、子宮内膜間質細胞でのmicroRNAの発現が外来性に増加すること、および、増加したmicroRNAが機能性であることが示唆された。 本研究により、子宮内膜癌細胞から子宮内膜間質細胞へとエキソソームを介して機能性のsmall RNAが受け渡されていることが証明された。
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