研究課題/領域番号 |
23791822
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
多賀谷 光 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50418711)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / 体細胞核移植法 / iPS 細胞 |
研究概要 |
本研究では、培養癌細胞を用いて癌幹細胞モデルを作成し、正常体細胞ならびに正常幹細胞に影響しない新しい治療法の可能性について検討することを目的としている。体細胞を初期化し幹細胞化する手法は、1 つは体細胞の核を除核未受精卵に核移植し、発生胚から ES 細胞を得る方法で、研究者が所属する研究室では、既にこの体細胞核移植実験系を確立しており、クローン動物の作成も成功している。しかし、癌細胞核を移植した場合の胚発生率は、正常体細胞の核を用いた場合と比較して非常に低率であり、また、癌細胞および卵細胞を 1 つ 1 つ処理する必要があるため時間的な浪費が大きく、研究の成果を得るまでに時間を要すると考えられた。一方、もう一つの幹細胞作成技術である iPS 細胞化は、4 種の初期化遺伝子を導入することにより体細胞を初期化する方法であり、卵細胞を必要とせず、一度に扱える癌細胞の数も多数であることから、はるかに効率的な研究が行えると考えられた。従って23 年度は、癌幹細胞核の除核未受精卵への移植実験に並行して、京都大学 iPS 細胞研究所のエピソーマルベクターを用いたヒト iPS 細胞樹立プロトコールを利用した実験系を確立すべく、遺伝子導入に用いるエレクトロポレーションの各種ヒト癌細胞毎の至適条件ならびに iPS 細胞作成の効率化について検討し、癌細胞の iPS 細胞化を試みているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体細胞核移植法による胚発生率が想定以上に不良であったため、iPS 細胞化による幹細胞化に着手しているため。
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今後の研究の推進方策 |
体細胞核移植法を用いた癌細胞由来 ES 細胞の樹立については、引き続き技術面での改善と胚発生条件の調整を行いながら継続して行く。これと並行して、癌細胞の iPS 細胞化を行い、細胞表面マーカーの変化や分化マーカー・未分化マーカーを含む遺伝子発現の変化についての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
体細胞核移植法に使用するマウス卵を得るためのマウスの購入・飼育ならびに幹細胞化に用いる癌細胞と初期化した細胞のための細胞培養試薬の費用は、23 年度同様に必要となる。また、24 年度は癌細胞を初期化した細胞に関して、各種遺伝子発現に関する解析を行う予定であり、セルソーティングや PCR を行う費用も必要となる。
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