研究課題/領域番号 |
23791822
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
多賀谷 光 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50418711)
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キーワード | 癌幹細胞 / iPS細胞 / クローン細胞化 |
研究概要 |
本研究は、癌細胞を初期化することで癌幹細胞モデルを作成し、その特性解析から、正常幹細胞へ影響することのない新たな治療法を確立することを目的としている。培養癌細胞の初期化は、染色体の不均一性や遺伝子発現の異常のため想定よりも効率が悪く、研究開始当初は、培養癌細胞核を除核未受精卵子に移植する体細胞核移植法 (クローン細胞化) を用いて細胞の初期化を試みていたが、平成24年度から初期化の4因子を遺伝子導入して作成するiPS細胞化に変更し、エレクトロポーレーションや培養条件の調製を行い癌幹細胞モデルの作成を試みていた。平成25年度は、癌細胞のiPS細胞化の最終調整を行い、同手法により作成された癌幹細胞モデルについて表面抗原や色素排泄能、増殖能、浸潤能などについて、オリジナルの培養癌細胞との相違を検討した。この結果、培養癌細胞をiPS細胞化により初期化して作成した細胞は、癌幹細胞的特性を有することが確認されたため、再度、核移植技術による、培養癌細胞の初期法の確立を試みている。癌細胞核のクローン細胞化は、技術的に極めて困難なものであり、平成25年度の後半は、その技術修練に専念することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養癌細胞のクローン細胞化法の確立のために、技術的修練が必要であり、未だ、核移植技術を用いた癌幹細胞モデルの作成には至っていない。培養癌細胞のiPS細胞化とその特性解析は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
体細胞核移植法を用いた培養癌細胞の初期化ならびに癌幹細胞モデルを作出し、iPS細胞化によりすでに作成した細胞との特性解析を行う。2つの方法で作成された癌幹細胞モデルについて、エピジェネティクな薬理作用を有する薬剤を用いた形質変化誘導の可能性について、とくに正常な組織幹細胞への影響の相違に重点を置き、検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の計画は、(1) 培養癌細胞のiPS細胞化とその特性解析、ならびに、(2) 培養癌細胞の核移植法によりクローン細胞化し、癌幹細胞モデル作出方法を確立するとともに、iPS細胞化により得られた癌幹細胞モデルと比較した、癌幹細胞としての特性を評価する予定であったが、癌細胞核の移植および胚の再構築は技術的に極めて困難であり、平成25年度後半は、癌細胞のクローン化技術の修練に費やすこととなり、癌幹細胞としての特性解析等のための予定していた研究費が未使用となった。 次年度においては、本年度の研究計画を約6か月遅延させて、計画通りの研究を遂行する。具体的にはマイクロマニピュレーション用消耗品150千円、実験動物購入費ならびに飼育費300千円、細胞培養ならびに遺伝子導入用消耗品費200千円、論文作成ならびに学会発表費40千円、等を計画している。
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