研究概要 |
【ヒト卵胞液のプロテオーム解析】検出タンパク総数は503、生体内作用で分類するとdevelopmental process, signal transduction, localization, metabolic processに関与するものがそれぞれ2, 4, 9, 52 種類存在した。受精卵由来卵胞液のみに検出されたタンパク質として、Fbp, Acetate kinase, Mitochondrial enolase superfamily member 1などが同定された。 【非黄体化顆粒膜細胞株の機能解析】樹立した細胞株HGrC1にGDF-9添加し、顆粒膜細胞間gap junctionを主に構成するCX43とコレステロール合成経路にある酵素であるHMGCS, HMGCR, FDFT1, SQLE, LSS, CYP51などのmRNA発現上昇を認めた。これらはFSH添加によりさらに発現量は増加し、CX43, HMGCS, CYP51では相加効果を認めた。CYP51は卵細胞の減数分裂を再開させることで知られているFF-MASを合成する酵素であり、CYP51発現にGDF-9とFSHが相加効果を示したことは、卵胞と卵発育における両者の相互関係を示唆していると考えられる。 【ラットPCOSモデルの作成と解析】RU486単独投与群、インスリン単独投与群、RU486+インスリン投与群、コントロール群の各群において体重変化には有意差はないが、RU486投与群では短期間投与で血中エストラジオール値、テストステロン値が増加した。インスリン単独投与群では血中ホルモン値に変化を認めなかったが、RU486+インスリン投与群ではRU486単独投与群と比較して血中エストラジオール値が増加する傾向を認めた。インスリンはRU486による視床下部-下垂体-卵巣系への影響を修飾している可能性が示唆される。
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