研究課題
1)卵巣明細胞腺癌を特徴づける遺伝子群(OCCC signature)は、卵巣明細胞腺癌で高発現しており、そのマーカー分子として知られる転写因子HNF1βによってもたらされていることを明らかにした。2)卵巣癌細胞株および臨床サンプルを用いて、メチル化DNAマイクロアレイを行い、HNF1βおよびその下流遺伝子が、卵巣明細胞腺癌では低メチル化、非明細胞腺癌では高メチル化されていることを明らかにした。すなわち、明細胞腺癌とそれ以外の組織型を区別する遺伝子群は、エピジェネティックな機序で制御されている。3)HNF1βがGLUT1の高発現をもたらし、グルコースの細胞内への取り込みを増していることを明らかにした。癌細胞へのグルコース取り込み亢進は、癌細胞に特有の嫌気性解糖(ワールブルグ効果)をもたらすことが知られているが、卵巣明細胞腺癌においては、HNF1βがその代謝異常の原因となっていることが明らかとなった。4)HNF1βがin vitroでは卵巣明細胞腺癌細胞の増殖を抑制するが、in vivoでは腫瘍形成を促進することを明らかにした。そして、HNF1βがリン酸化ERKの活性化をもたらしていることを明らかにした。したがって、MAPK経路の活性化は、HNF1βによる腫瘍形成促進の原因の一つであると考えられる。5)HNF1βの発現が酸化ストレス耐性をもたらすことを明らかにした。このことは、卵巣内膜症性嚢胞内の鉄濃度の高い酸化ストレス環境下において、HNF1β発現が明細胞腺癌細胞の生存・増殖に寄与していることを示唆している。
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