研究実績の概要 |
研究期間全体を通じて実施した研究の成果 【VAV1タンパク発現は早期卵巣癌の予後に悪影響を与える】 I-II期卵巣癌46症例のVAV1発現を免疫組織学的に検討した。VAV1発現陽性群では全生存期間、無増悪生存期間が有意に低下することを新たに認めている。【VAV1恒常発現はSKOV3のMorphologyに影響を与える】 VAV1発現細胞株(SKOV3-VAV1)のMorphology を検討した。3D cultureではSKOV3-VAV1は桑実状に組織構築することができず、細胞骨格の評価ではstress fiberの増加を認めるなど、Morphologyが大きく変化することが明らかになった。【VAV1発現はE-cadherin発現を低下させた】Morphology検討結果はVAV1発現とEMTの関係を示唆している。ウェスタンブロット法ではVAV1発現に依存してE-cadherin発現が低下することを認めた。mRNAレベルでもE-cadherin 発現低下を確認した。【VAV1はSnail, Slugを介してE-cadherin発現を制御している。】E-cadherinの転写調節因子Snail, Slug発現がタンパクレベル、mRNAレベルで増加していることを認めた。VAV1-siRNAでSnail, Slug発現は低下することから、VAV1がSnail, Slug発現に影響を与え、その結果としてE-cadherin発現を制御することが明らかになった。【最終年度に実施した研究成果】E-cadherinのユビキチン化に関与するHAKAIに注目し、VAV1発現との相関を検討した。VAV1発現とHAKAIの発現に相関を認めることはなかったが、卵巣癌細胞株SKOV3でのSnail, Slug発現がユビキチン化によって制御を受けていることが明らかになり、新たな研究課題への展開が期待される。
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