今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、母体・胎児間の尿酸輸送が積極的に行われていることが示唆された。そこで今後はその尿酸輸送に焦点を当て検討を行っていく。(1)尿酸輸送体の検出 現在、尿酸輸送能を持つと報告されている輸送体としてGLUT9, NPT1, NPT4, OAT1, OAT3, OAT4, URAT1, OAT10, BCRP, MRP4の10種類が知られている。そこで、それぞれの輸送体の特異的プライマーを作製し、RT-PCR法によってどの輸送体のmRNAが胎盤に発現しているのか検討を行う。mRNAの発現が確認された尿酸トランスポーターに関して、定量PCR法を用いて比較定量を行う。また、ウエスタンブロット法によりタンパク質の比較定量も行う。さらにそれら尿酸トランスポーターの発現部位を同定するたため、蛍光免疫染色を用いた胎盤組織切片の染色を行う。(2)モデル細胞を用いた尿酸輸送の検討 胎盤由来の培養細胞として、ヒト絨毛がん細胞のBeWo細胞がある。そこで、この培養細胞をモデルとして、放射ラベルされた尿酸を用いてその輸送能の検討を行う。まず、胎盤組織において発現が確認された尿酸トランスポーターに関して、BeWo細胞での発現を確認する。必要に応じて尿酸トランスポーターの過剰発現やノックダウンにより、胎盤組織の発現条件に近づける。その後、放射ラベルされた尿酸の細胞内への取り込み、細胞外への尿酸排泄、およびトランスウェルを用いて尿酸の細胞上下間の輸送を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に必要となる、PCR、共焦点レーザー顕微鏡、細胞培養用インキュベーターなどの機器類は、すでに当研究室に設置されている。taqman PCRは、本学共同利用施設の機器が使用可能である。よって、研究経費で大きな割合を占めるものは、RNA調製, タンパク質調製, スライド標本作製, 細胞培養などに必要な一般試薬や、PCR酵素およびプライマーなどの分子生物学試薬、染色用の抗体および試薬、細胞培養などに必要なディスポ製品、スライドやメスシリンダーなどのガラス製品、放射ラベルされた尿酸などの消耗品となる。タンパク質検出にウエスタンブロッティング装置が必要不可欠であるため、購入を予定している。また、年3回の国内、年1回の国外への研究資料収集および研究成果発表を計画している。
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