研究課題
近年、protein kinase C(PKC)およびmitogen-activated protein kinase kinase (MEK)/extracellular signal-regulated kinase (ERK)依存的なシグナルの活性化により、栄養膜幹細胞から合胞体栄養膜細胞のへ分化を促進することが報告された。この分化にGCMaが必須の因子であることが知られているが、これらのシグナルがGCMaの機能制御に及ぼす影響については未だ報告されていない。そこで、本研究ではGCMaの機能制御におけるPKC依存的なシグナルの役割の解明を目的とした。その結果、PKCおよびMEK依存的なシグナルを介して、GCMaの分解系が促進される可能性が明らかになった。またこの過程でGCMaのリン酸化レベルが増加することを明らかにし、GCMaの328、378および383番目のセリン残基がリン酸化されることを見出した。このリン酸化のGCMaの発現や機能制御への関与を調べたところ、GCMaのユビキチン化レベルの増加による分解促進および転写活性化能の促進に働いていることを見出した。以上の結果から、GCMaはPKCおよびMEK/ERK依存的にリン酸化され、GCMaの分解および転写活性が促進されることが示唆され、PKC依存的なシグナルは相反する作用が同時に生じることによりGCMaの活性の上限を設定する役割を担っている可能性が考えられた。GCMaの機能異常は、胎盤の形成不全が原因で生じる妊娠高血圧症候群や子宮内発育不全などの疾患との関連している可能性が考えられており、本研究の成果はこれらの疾患の原因究明および治療法の開発に貢献できるものと考えられる。
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