子宮体癌の多くはエストロゲン依存性腫瘍である。本研究では日本人女性における女性ホルモンの合成・分解に関わる種々の酵素 (CYP19A1、HSD17B1など) をコードする遺伝子の遺伝子多型・ハプロタイプを解析し、症例対照研究の手法を用いて子宮体癌リスクとの関連を明らかにした。 1、研究対象者の決定と環境要因情報の収集:エストロゲンと関連が強い子宮体がん(類内膜腺癌)114例と対照群として非がんの女性 (228例)を対象とした。対象者の生活習慣等の環境要因情報・臨床情報・病理学的情報を収集した。 2、遺伝子多型の決定:抽出されたDNAを使って、rs4680 (COMT)、rs743572 (CYP17A1)、rs10046 (CYP19A1)、rs1048943 (CYP1A1)、rs762551 (CYP1A2)、rs1800440/rs1056836 (CYP1B1)、rs4917623 (CYP2C19)、rs6905370/rs827421 (ESR1)、rs2676531/rs2830/rs597255/rs2676530/rs676387/rs605519 (HSD17B1)、rs6564961/rs4888202/rs2955160 (HSD17B2)、rs10895068 (PGR)、rs1801030/rs9282861 (SULT1A1)、rs3736599 (SULT1E1)のジェノタイピングを行った。 3、ロジステック回帰分析を行い、遺伝子-環境交互作用について検討した。 4、いずれの遺伝子多型も日本人の子宮体がんリスクとは関連を示さなかった。特に注目していたHSD17B2遺伝子多型では現在の肥満度により層別化解析を行ったが、有意な関連は示されなかった。
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