1.前庭電気刺激と正確な眼球運動を記録できるシステムの構築:すでに稼働している赤外線CCDカメラと刺激電極からなるシステムに高速ビデオを加えた高速眼球運動解析システムを構築した。モルモットの前庭器に電気刺激を行いながら眼球運動を記録することができる。 2.両側末梢前庭機能廃絶モデル動物の作成と電極刺入:モルモットに両側迷路破壊術を行う。3で用いるモルモットとしてのモデル動物作成は安定して可能となっており、多チャンネル型刺激電極を前庭神経節に刺入することも可能となっている。 3.多チャンネル型刺激電極を用いた前庭器の電気刺激:モルモットを申請者が考案した前頭側頭開頭変法で開頭し、多チャンネル型刺激電極を上下前庭神経節に刺入することが可能となっている。1で構築したビデオシステムを用いて電気刺激時の眼球運動を解析し、本研究用にセットアップしたマルチチャンネル刺激装置を用いて末梢前庭の各部位(半規管、耳石器)の個別刺激を試みている。現時点では、電気刺激により眼球運動を惹起することは可能となっているが、各半規管や耳石器を正確に個別刺激することは出来ていない。電極の選定に問題がある可能性・至適刺激条件が詰められていない可能性などが考えられるが、方法論に問題がある恐れもある。 4.今後の展開:今後も前庭神経節刺激型人工前庭器の開発はすすめる予定であるが、同時に前庭電気刺激による前庭神経節細胞の保存も試みる。これは、現在までに構築した実験システムで遂行可能と思われる課題であり、もうひとつのテーマである前庭の老化と絡めて推進することが可能と思われる研究内容である。
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