ウイルス性嗅覚障害の病態生理については不明な点が多く詳細は不明である。本研究では宿主免疫応答に伴う2次的な自己組織の傷害に焦点を当て解析した。ウイルス擬似成分であるPoly(I:C)をマウスに経鼻投与すると嗅上皮に好中球、マクロファージなどの炎症細胞浸潤が生じ、嗅上皮の変性を認めた。嗅上皮傷害は好中球浸潤の強い部位で著明であり、好中球減少モデルマウスで傷害が抑制されたこと、好中球エラスターゼ阻害薬の投与により傷害が抑制されたことから好中球が嗅上皮傷害に強く関与していることが示唆された。好中球による自己組織の傷害を抑制することでウイルス性嗅覚障害が予防される可能性が示唆された。
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