研究課題/領域番号 |
23791882
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
窪田 和 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (40547593)
|
キーワード | 大脳聴覚野 / 周波数マップ / 中枢性耳鳴 |
研究概要 |
聴覚末梢受容器である蝸牛に傷害が生じ、内耳性の難聴が生じることで大脳聴覚野への聴覚刺激のインプットが減少する。それに伴い大脳聴覚野内での神経細胞間ネットワークの変化が生じ、周波数マップに変化が生じることが耳鳴の成因の一つであると考えられている。 周波数マップの変化を外的刺激で抑制できれば、耳鳴の予防的治療法の可能性に繋がるものと考えて研究している。加齢や音響外傷などによって生じる蝸牛障害によって聴覚野周波数マップがどのように変化するかを観察したうえで、さらに難聴出現以降の飼育環境において難聴周波数帯域の環境音を持続的に暴露することで、周波数マップの変化が抑制できるかどうかの研究を行っている。本年度はフラビン蛋白蛍光法によるマウス聴覚野の計測を行い通常飼育の若齢マウス、加齢マウスの基礎的データを蓄積している。 C57BL/6マウスは加齢性難聴モデルマウスであり、難聴形成前の5~8週齢と12週齢以降の難聴出現後の高齢マウスにおける聴覚野マップ、特に高周波数帯域のマップが若齢マウスと比べてどのような変化を生じるか確認するための基礎データを複数の週齢で蓄積している。 加齢性難聴は高周波数帯域から進行するので、それに伴い低周波数帯域のマ ップが高周波数帯域側に拡大することが予想されるため、5kHz、10kHz刺激時の反応領域の1/2ピーク強度の面積を計測し若齢マウスと比較している。また、加齢性難聴形成期に飼育環境で音刺激を継続して行い、マップ変化にどのような影響があるのかを解析している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
難聴形成期のマウスに対する環境音刺激として、トーンジェネレータを用いた簡単な音刺激を行っていたことや、難聴形成マウスの計測を、週数が比較的早めの段階で行っていたことなどから、難聴が高度に進行する以前の状況で特定の周波数刺激を行った場合と同等の結果(環境音刺激の周波数領域だけが反応が増強する)となってしまい、当初の目的であるマップの変化を計測することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
加齢性難聴モデルの計測時期をこれまでの実験時期より遅くし、確実に難聴を形成している時期とする。また、環境音刺激として、バンドパスフィルタを用いた帯域雑音を使用し、特定の周波数帯域だけに聴覚刺激、刺激音圧が集中することを避けて、低周波領域のマップ変化が測定できるような実験系への変更を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
飼育環境における音負荷をより効率的に行うため、飼育用の防音箱を購入し、スピーカーシステム、刺激音作成のためのシステムを再構築する。 また、動物の購入費、薬物購入費、学会参加費として使用する予定である。
|