研究課題
聴覚末梢受容器である蝸牛に障害が生じる、またはそれ以外の要因で難聴が生じると、大脳聴覚野への聴覚刺激のインプットが変化し、それが大脳聴覚野内の周波数マップにおける神経細胞の活動性やネットワークを変化させ、耳鳴の成因になっていると考えられている。聴覚入力の変化による周波数マップの変化を外的刺激で抑制することができれば、耳鳴の治療、発症予防に繋がるものと考えて研究を行った。加齢や音響外傷による難聴マウスにおける周波数マップの変化を観察し、難聴周波数帯域の帯域雑音を継続暴露したマウスとの周波数マップの相違につき観察を行った。C57BL/6マウスは加齢性難聴モデルマウスであり、難聴形成前の5~8週齢と難聴形成期の12週以降の高齢マウスにおける聴覚野マップで、難聴形成前後での周波数マップの変化、特に難聴周波数帯域よりも低周波数帯域のマップが高周波数帯域へ拡大することを予想し、フラビン蛋白蛍光法によるイメージング解析を行っている。加齢性難聴は高周波数帯域から進行するので、それに伴う低周波数帯域のマップ変化を観察するため、5kHz、10kHzの刺激音での反応領域の面積、応答領域の反応中心位置を評価しているが、現状では個体差が大きく統計的有意差を得るに至っていない。並行して大脳聴覚野の機能解析として両耳同時聴覚刺激による左右聴覚野の応答性を、刺激音を変えて計測し、左右聴覚野の機能的相違につき検討を行っている。純音と変調音で左右の聴覚野応答に差がみられる傾向であり、左右聴覚野の機能的差異や相互関係につき解析を行っている。
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