研究課題/領域番号 |
23791883
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
相澤 直孝 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60464012)
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キーワード | 聴覚時間分解能 / ギャップ検知閾 / カテゴリー知覚 |
研究概要 |
臨床の場で、正常~軽度感音難聴のみにもかかわらず語音聴取不良を訴える高齢者にしばしば遭遇する。このような場合は聴覚の周波数分解能が低下しているのみでなく、時間分解能の低下が原因である可能性が考えられる。聴覚時間分解能が語音聴取にどのような影響を与えているか様々な研究が行われているが、いまだその影響は明らかとなっていない。/ba/-/pa/音で生じるカテゴリー知覚は、聴覚時間分解能を検討する一つの指標である。今回、新潟大学工学部と連携し、聴覚時間分解能の検討のため/ba/-/pa/音を用いたカテゴリー知覚につき実験法の開発をすすめたが、/ba/-/pa/音よりも白色雑音を用いたGap検知のほうが普遍的な聴覚時間分解能の検討に適していると結論し、実験法の開発を行った。 デジタルサウンドプロセッサを作動するソフトウェアを開発し、被験者に音を提示する際のヘッドフォンやアンプを選定し購入した。また、提示音の音圧調整は非常に重要であり、ヘッドフォンの音圧測定のためにヘッドセットを購入した。 現在まで、20、30歳代の正常聴力者を被験者とし白色雑音を用いたGap検知閾測定の実験法の妥当性を評価した。実験結果では、白色雑音を用いたGap検知閾測定は聴覚時間分解能の検討に適していると考えられた。また、/ba/-/pa/音でのカテゴリー知覚を生じる反応と同様の結果が得られたことから、白色雑音を用いたGap検知閾測定はカテゴリー知覚を通じて聴覚時間分解能を検討していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
聴覚時間分解能の検討に適した音刺激の作成に難渋したため計画よりやや遅れた状況である。しかし、現在は聴取実験の方法を開発し、聴取実験を開始し、実験法の妥当性を確認している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は聴取者を正常聴力者のみならず軽度感音難聴者や高齢者など対象を拡大し、対象群ごとの聴覚時間分解能につき比較検討していく。 また、今研究では複数の機器を接続しなければならず煩雑であるが、それらを一つの機器に納めて簡便できるよう機器開発をすすめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記方策を遂行するため実験協力者の雇用や機器開発のための物品購入を計画している。
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