研究課題/領域番号 |
23791888
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
西尾 信哉 信州大学, 医学部, 助教 (70467166)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 内耳 / マイクロRNA / 遺伝子発現 / DNAマイクロアレイ / 聴覚 / 老人性難聴 |
研究概要 |
近年、micro RNAと呼ばれる翻訳されない短いRNA分子が、発生、分化、生命機能維持や発ガンなど様々な生命現象において大きな機能を担う事が明らかとなってきた。この短いRNAの作用メカニズムとして、micro RNAに含まれるseed領域と呼ばれる18塩基程度の領域が、mRNAとハイブリッドを形成し、そこにRNA分解酵素を含むRISC複合体が形成されて、遺伝子発現を抑制すると推定されている。 研究代表者は内耳におけるmicro RNAの解析をテーマに、加齢性難聴を示すモデルマウスとそのコントロール系統を用いて、若齢時と加齢時における内耳のmicro RNAの違いを明らかにすることを目的にマイクロアレイ法を用いて網羅的に解析を行った。その結果、加齢性難聴を示すマウスでのみmicro RNAの発現パターンが大きく異なる事を見出した。 これら発現量が大きく変化したmicro RNAの中には、内耳の機能に重要であることが示唆されているmicro RNA(miR-96、miR-182、miR-183)が含まれており、加齢性難聴を呈したモデルマウスでのみその発現量が約半分に減少していることを明らかにした。特にmiR-96は優性遺伝形式をとる遺伝性難聴の原因遺伝子(DFNA50)として報告されており、どのようなメカニズムで難聴が引き起こされているのかの解明に興味が持たれている分子である。 また、これらmicro RNAがどのような役割を果たしているかを明らかにすることを目的に、Ribocluster沈降法を用いて、Dicer、Ago2を含むRISC複合体を抗Ago2抗体を用いた免疫沈降により回収し、そのなかに含まれているRNA分子をマイクロアレイで解析を行った。現在、得られたデータの相関に関して検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初に予定していたRibocluster沈降法によるデータがえられつつある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度のRibocluster沈降法により同定されたmicro RNAおよびmRNAに関してその発現部位を詳細に解析することを目的に、マウスの蝸牛のin situハイブリダイゼーションによる解析を行う。また、TaqManプローブを用いた定量RT-PCR解析を行い、各micro RNAおよびmRNAの発現量を確認することで、内耳におけるmicro RNAおよびそのターゲット遺伝子に関する解析を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度までに同定したmicro RNAおよびmRNAの局在を確認するために必要なin situハイブリダイゼーションの試薬を購入する。また、マイクロアレイ解析を追加して行いデータをより確実な物にする予定である。また、マイクロアレイ解析により明らかにした各micro RNAおよびmRNAの発現量を確認するために必要なTaqManプローブおよびPCR試薬を購入することで、データの信頼性を増す計画である。
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