研究課題/領域番号 |
23791889
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮川 麻衣子 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (60467165)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メニエール病 / MRI / 画像診断 / 内リンパ水腫 |
研究概要 |
従来からメニエール病の病態は内リンパ水腫であるとされているが、確定診断は側頭骨病理による以外なく、実際の患者の診断の際に苦慮することも少なくなかった。我国では厚生省特定疾患前庭機能異常研究班のメニエール病診断基準(1974年)が用いられているが、この診断基準では、めまいの反復や難聴の随伴など臨床症状が中心であり、メニエール病の病態である内リンパ水腫とは直結しておらず、補助診断であるグリセオールテストや蝸電図は間接的に内リンパ水腫を証明する検査であるため、実際に内リンパ水腫を確認することは困難であった。近年、ガドリニウムを鼓室内投与し、3T-MRIを用いることにより、内リンパ水腫が画像的に証明できるようになった。これは、今まで側頭骨病理でしか証明できなかった内リンパ水腫を、実際の症例で確認できる画期的な方法である。本研究では、我々が開発した両側経鼓室内耳造影により定量的な内リンパ水腫の評価を用いて、メニエール病とその関連疾患における内リンパ水腫の存在、経時的変化、治療効果などについて検討を行い、画像診断の有効性について明らかにすることを主たる目的とした。 平成23年度は当初の計画通り、同一症例を対象に、グリセオールテスト、蝸電図、ガドリニウム鼓室内投与3T-MRIを行い、臨床的なメニエール病との診断との一致率に関して検討を行った。その結果、ガドリニウム鼓室内投与3T-MRIでは、非常に高感度で内リンパ水腫を検出することが可能である事を明らかにした。特に、両側の比較い蝸牛管に占める内リンパ腔の面積比を求める事で、偽陽性を減らすことが可能である事を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初に予定していたグリセオールテスト、蝸電図との比較検討を行い、MRIによる画像診断の有効性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の検討により、3T-MRIを用いた画像診断により、グリセオールテストや蝸電図と比較しても高感度に内リンパ水腫を検出できる事が明らかになり、3T-MRIを用いた画像診断の有効性が明らかと成ってきたため、平成24年度はメニエール病の発作器と寛解期における内リンパ水腫の程度を画像的に比較する事で、病態の変化と内リンパ水腫の程度の相関を検討する。また、メニエール病の治療に用いられる薬剤(浸透圧利尿剤、ステロイド剤、脳循環改善薬など)の投与前後での内リンパ水腫の程度を比較する事で、治療効果判定マーカーとしての有用性について検討を行う。また、AQPなどいくつかの遺伝子の解析を行い病因解明の基礎的な研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、初年度で3T-MRIを用いた内リンパ水腫の画像診断の有効性を示す事ができたため、平成24年度はさらに症例数を増やしてデータの蓄積を行うとともに、メニエール病の発作器と寛解期における内リンパ水腫の程度を画像的に比較する事で、病態の変化と内リンパ水腫の程度の相関を検討するための経費に充てる。また、メニエール病の治療に用いられる薬剤の投与前後での内リンパ水腫の程度を比較する検討を行う。また、AQPなどいくつかの遺伝子の解析を行い病因解明の基礎的な研究を行うための遺伝子解析消耗品を購入する。
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