研究課題
本研究の目的は、生理活性ペプチドマンセリンについて、内耳を含めた聴覚神経系における局在とストレス下での機能を明らかにすることである。最終年度は、聴覚系における求心性伝導路中継核である延髄の蝸牛神経核および遠心性伝導路中継核である橋の上オリーブ核複合体におけるマンセリンの局在と、ストレス負荷による影響を検討した。ラット脳の浮遊切片を用いた免疫組織化学を行ったところ、マンセリンは延髄の蝸牛神経核に局在し、聴覚系の中枢神経系に関与することが示された。さらに、橋の上オリーブ核複合体の外側上オリーブ核がマンセリン強陽性であった。マンセリンは内耳のII型らせん神経節細胞に局在し、外側上オリーブ核からの遠心性線維は外有毛細胞を介してII型らせん神経節細胞に伝達されることから、外有毛細胞の聴覚経路にマンセリンは関与することが示唆された。ストレス負荷ラットにおいても同様に橋および延髄のマンセリンの局在変化について免疫組織化学による検討を行い、対照群との比較を行ったが、変化は見られていない。研究期間全体を通じて明らかになったことは、主に次の4点である。(1)内耳マンセリンは生後の発達に伴って局在が変化する。(2)低音から高音まで広範囲なコルチ器の神経線維に局在する。(3)延髄の蝸牛神経核および橋の外側上オリーブ核にも局在する。(4)ストレス負荷に伴い、内耳のII型らせん神経節細胞の発現が減少する。以上から、マンセリンは末梢神経から中枢神経に至るまで聴覚神経系において広く局在して、一部はストレス感受性であることから、ストレス負荷時の聴覚系の制御にマンセリンが関与していると考えられる。
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