研究課題/領域番号 |
23791895
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 雪子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90548083)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | セロトニン3受容体 / 抗癌剤 |
研究概要 |
頭頸部癌の場合、そのステージによっては放射線療法や化学療法が用いられる。しかしこれらは副作用として激しい嘔気・嘔吐を引き起こすことが問題になる。抗癌剤の投与によって傷害された細胞からラジカルが放出され、腸内に存在するエンテロクロマフィン細胞を刺激し、大量のセロトニンが分泌される。高濃度のセロトニンは迷走神経終末に存在するセロトニン3受容体を開き、その刺激が嘔吐中枢である延髄の孤束核に伝わることで最終的に嘔吐が引き起こされる。しかし抗癌剤の中には激しい嘔吐を引き起こすもの、ほぼ引き起こさないものなど様々ありその詳しいメカニズムはわかっていない。抗癌剤による応答の副作用の強さは、一般に4群にわけられるが、激しい応答を引き起こす抗癌剤の化学構造は小さい傾向があることに気付いた。そこで我々は抗癌剤がセロトニンの濃度が上昇することで間接的にセロトニン3受容体が刺激されるという経路に加え、抗癌剤が直接セロトニン3受容体の応答性を変化させる可能性があるのではないかと考えた。そこでアフリカツメガエルの卵母細胞にセロトニン3受容体を発現させ、入手可能な様々な抗癌剤を投与し、セロトニンの応答性を調節するかどうか検討したところ、抗癌剤イリノテカンが直接セロトニン3受容体の応答を調節することを見出し、第一報目としてBiochemical and Biophysical Research Communicationsに報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗癌剤が目的の受容体に及ぼす影響について検討していたところ、ある種類の抗癌剤が応答調節に関与していることがわかってきた。1つ目の成果として平成23年11月にBiochemical and Biophysical Research Communicationsに報告した。
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今後の研究の推進方策 |
抗癌剤が目的の受容体に及ぼす影響について検討していたところ、予想以上に多くの抗癌剤が応答調節に関与していることがわかってきた。その結果、これら応答調節に関与する1つ1つの抗癌剤についてさらに詳しく検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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