研究概要 |
メチマゾール投与による嗅神経細胞障害モデルを用いて、嗅神経細胞の再生過程における網羅的な遺伝子解析をマイクロアレイ法で行った。本実験において、嗅上皮および嗅球の再生過程の遺伝子レベルでの変動が詳細に観察された。それらの結果を検討した上で、嗅神経の再生に有意な変動を認めた遺伝子を選出した。神経栄養因子であるBDNF遺伝子の発現は、再生過程初期の嗅上皮において、劇的な増加を認めた後に減少をしていった。一方で、嗅球でのBDNF遺伝子の変化は、再生過程初期で劇的に減少を認めた後に、徐々に増加していった。この結果によりBDNFは、再生過程初期では嗅上皮で機能しており、再生過程晩期では嗅球で関与することが示唆された。これらの結果は、将来的に嗅覚障害に対する新たな治療法(再生)に向けた実験系を確立する際に、治療候補因子の選出のための貴重な情報となりうると考えられる。最終年度(2012年度)には本実験の結果、有名英文雑誌へ投稿を行い、掲載されている。(Neuroscinece Letter 16:45-9,2012)
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