研究概要 |
マウスに対して水酸化アルミニウムゲルと卵白アルブミンの混合液を腹腔内投与することにより卵白アルブミン感作マウスを作製した 。昨年度までの研究で、卵白アルブミン感作マウスの中耳腔に卵白アルブミンを経鼓膜投与することによって、マウス中耳腔に好酸球の浸潤を認める事を確認していたため、本年度はより強い好酸球浸潤の発現を目指して、卵白アルブミンの投与回数や投与濃度の検討を行った。その結果、感作後1週間の時点で卵白アルブミンを経鼓膜的に3日間連続投与した場合で、中耳腔に強い好酸球浸潤を認めた。当該研究者のこれまでの検討で、ヒト好酸球性中耳炎症例の中耳腔にはインターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン13などのTh2型サイトカインが高い濃度で存在していることを確認していたため,卵白アルブミン感作マウスの中耳腔を洗浄し、それらのサイトカインをPCR法およびELISA法にて定量した。その結果,コントロール群と比較して、好酸球浸潤マウスでは中耳洗浄液中にTh2型サイトカインの有意に高い発現を認めた。しかし、卵白アルブミン感作マウスの中耳洗浄液中のインターロイキン4、インターロイキン5、インターロ イキン13などのTh2型サイトカイン濃度はヒト好酸球性中耳炎症例の中耳腔で発現しているにTh2型サイトカインと比較すると低値で、炎症性サイトカイン濃度の観点からも本モデルマウスは好酸球性中耳炎の病態を十分に反映していると考えるにはアレルギー性炎症惹起が不十分と思われた。
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