今回、一過性内耳虚血モデルに対し骨髄単核球細胞を静脈内投与し、内耳障害に対する抑制効果を検討した。ABR閾値変化や内有毛細胞脱落割合の結果から、細胞投与群は内耳障害が軽微であった。投与された細胞の局所存在を検討した結果、主に蝸牛軸に存在したが、コルチ器周辺には存在しなかったことから、有毛細胞へ分化転換した可能性や、有毛細胞と細胞融合により保護効果を示した可能性は低いと考えられた。そこで局所の栄養因子の発現をウエスタンブロット解析にて評価したところ、GDNFとNT-3の発現が細胞投与群では有意に上昇していた。これらのことより、細胞が栄養因子を分泌して内耳障害抑制に働いた可能性が高いと考えられた。
|