2013年度は、経口免疫療法の効果が持続するかどうかを中心にオープン試験で検討した。2011年、2012年の過去2年スギ抗原-ガラクトマンナン複合体を用いた短期間の経口免疫療法を受けた群13名、2012年の過去1年短期間の経口免疫療法を受けた群15名、とさらに2013年新規に経口免疫治療を受ける群16名、また経口免疫治療を受けたことのないコントロール群14名において花粉飛散期のTotal symptom-medication scoreを比較し、治療効果を検討した。経口免疫療法は、2012年度と同様に行った。また2013年度に経口免疫療法を行った群のみ有害事象(CTCAEに基づいて評価)について安全性の検討を行った。結果については解析中であるが少なくとも短期間のスギ抗原-ガラクトマンナンを用いた経口免疫療を1年(15名)、または2年間受けた群(13名)では治療を受けない次年度(2013年度)でも前年度と比較してTotal symptom-medication scoreに差のない症例も認められ、経口免疫療法でも治療後に効果が持続することが確認された。 2011年度から2013年度を通してオープン試験の結果ではあるが短期間の経口免疫療法を受けた群では、コントロール群(従来の薬物治療群)と比較してTotal symptom-medication scoreが有意に改善すること、治療後も効果が持続することが示され、また安全性についても導入期間を設けることで維持期間中の有害事象を2012年度は17%、2013年度は12.5%とある程度抑制することができ、grade3以上の有害事象は認めなかった。以上の結果よりスギ抗原-ガラクトマンナン複合体を用いた経口免疫療法は、利便性が良く簡便で、早期に比較的安全に減感作を誘導できるため花粉症に対する治療の一つの選択肢になりえると考えられた。
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