平成24年度はP6とαGalCerで経鼻免疫したマウスの鼻粘膜・NALTにおける樹状細胞の誘導、NALT・頸部リンパ節におけるNKT細胞の誘導と誘導された樹状細胞のサブセットについての検討を行った。 経鼻免疫を行ったマウスの鼻粘膜・NALTの組織切片を作製し免疫組織化学を行い、樹状細胞の誘導について検討した。経鼻免疫により樹状細胞の誘導は促進されていた。鼻粘膜とNALTでの樹状細胞の誘導を比較するとNALTにおいて強く誘導されていた。 さらに経鼻免疫を行ったマウスのNALT・頚部リンパ節から単球を分離しフローサイトメトリーを行い、NALT・頚部リンパ節における樹状細胞数やそのサブセットの変化、さらに、NALTにおけるNKTN細胞数の変化について検討した。経鼻免疫によりNALT・頚部リンパ節いずれにおいても樹状細胞数の増加を認めた。興味深いことにNALTではCD8α陽性の樹状細胞が頚部リンパ節ではCD11c陽性の樹状細胞が優位に誘導されていた。経鼻免疫によりNALTでのNKT細胞数は有意に増加していた。 このことから、経鼻免疫により抗原特異的免疫応答に重要な樹状細胞が誘導されるが、その誘導の場は主にNALTであること。さらに、樹状細胞とNKT細胞のinter-actionは主にNALTで行われていることが示された。 平成23年度、24年度の研究でP6とα-GalCerの経鼻免疫によるインフルエンザ菌特異的防御免疫の誘導の詳細なメカニズムを明らかにした。今回の研究成果は中耳炎予防ワクチンの開発に大きく貢献するとともに、今後、粘膜ワクチンに関わる免疫負応答の問題や嗅覚や中枢神経系への障害を解決していくことで臨床応用することが期待される。
|