研究課題/領域番号 |
23791918
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
野本 美香 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50554416)
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キーワード | 再生医療 / 軟骨 / 喉頭 |
研究概要 |
平成23年度は自家移植の細胞源として肋軟骨を採取し、軟骨細胞を分離培養する方法を確立した。平成24年度は培養軟骨細胞を自己組織再生型人工気管に導入し,ウサギの喉頭欠損部に移植する実験を行った。〔軟骨細胞の採取と培養〕日本白色系ウサギのオスを用いた。全身麻酔下にウサギの肋軟骨を採取。軟骨膜を取り除いた後にコラゲナーゼ処理し浮遊する軟骨細胞を濾過、採取した。10%FBS含有D-MEMをもちいて軟骨細胞の継代培養を行った。軟骨細胞の増殖状態を確認しながら2から3代の継代培養を行った。〔軟骨細胞含有人工気管の作製〕I型コラーゲン溶液に再構成用緩衝液及び培養軟骨細胞を混合し軟骨細胞含有コラーゲン溶液を作製した。ウサギ用に作製した自己組織生成型人工気管を足場材料とし、軟骨細胞含有コラーゲン溶液を足場材料に浸透させ、37℃インキュベーター内でゲル化させた。〔喉頭欠損モデルの作製〕先に肋軟骨を摘出し、軟骨を採取したウサギを用い全身麻酔下に喉頭・頸部気管を露出させ、輪状軟骨を開窓した。喉頭欠損の大きさは約5×12mmとした。〔喉頭再建〕培養喉頭が喉頭欠損部を覆うよう留置し6-0ナイロン糸で喉頭と縫合した。〔標本採取〕移植後14日の後にネンブタール過剰投与により安楽死させた後、喉頭を摘出し、HE染色、アルシアンブルー染色にて組織学的評価を行った。喉頭軟骨欠損部の一部に軟骨組織の再生が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)軟骨組織の採取を行い移植に必要な量の軟骨細胞を得ることができた。 今回は自家移植を行うため、軟骨組織を採取後もウサギが生存している必要があったが、全身麻酔下での肋軟骨採取後に問題の起こったウサギはいなかった。また、軟骨細胞の継代培養にて移植に必要な軟骨細胞数を安定して得ることが可能であった。 (2)ウサギの喉頭欠損モデルを作製し、軟骨細胞を導入した人工気管を移植することができた。 ウサギの輪状軟骨を開窓し、その部位に軟骨細胞を導入した人工気管を移植する方法を確立できた。移植後に気道狭窄がおこったウサギはいなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究にて軟骨細胞の採取・培養とウサギ喉頭欠損モデルへの自家移植の手技を確立することができた。平成25年度は移植実験をさらに進めて長期モデルでの評価も行う。 〔細胞の蛍光標識〕移植細胞を宿主細胞と区別・同定できるように、レンチウイルス等をベクターとした遺伝子導入技術を用いて、培養軟骨細胞と培養線維芽細胞に蛍光蛋白(GFP、YFP等)や発光蛋白(ヒカリコメツキムシ由来ルシフェラーゼなど)の遺伝子を導入する。 〔バイオルミネッセンスイメージングによる評価〕移植後7日、14日、30日、60日を目安に全身麻酔下にルシフェリンを投与し、高感度カメラにてルシフェラーゼとの反応による蛍光を観察し、軟骨組織の経時的変化を同一個体で評価する。 〔標本採取〕観察期間(移植後7日、14日、30日、60日)の後にネンブタール過剰投与により安楽死させた後、喉頭を摘出する。 〔標本作製・評価〕摘出した喉頭の凍結切片及びパラフィン切片、SEM用の標本を作製する。H-E染色やトルイジンブルー染色、サフラニンO染色での形態観察を行う。蛍光顕微鏡にて蛍光標識した細胞を経時的に評価する。免疫染色(type II collagen,cytokeratin, von Willebrand Factor)、SEMにて軟骨組織の構造、再生喉頭の層構造を評価する。形質的評価としてはRT-PCR(type II collagen、aggrecan)などを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物・薬品類・実験器具の購入 500,000円 成果発表・調査研究のための学会旅費 250,000円 成果発表のための投稿料、英文校閲料 150,000円
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