Bell 麻痺患者の中に、糖尿病との合併がしばしば認められる。STZにより膵島を破壊した糖尿病モデルマウスに HSV-1 を外耳に感染させたところ、STZ 非投与のマウスに比べて顔面神経麻痺の罹患頻度、麻痺の程度、死亡率が上昇した。また、電気生理学的に、組織学的にも STZ 非投与のマウスに比べて、神経変性の程度が悪化していた。糖尿病の状態にすることにより、HSV による顔面神経麻痺の状態の悪化が認められた。また、 HSV が前庭神経炎、突発性難聴の原因であるという報告が散見される。 HSV-1、 -2 をマウスの中耳に接種したところ、めまい、難聴の症状が認められた。内耳組織切片を検討したところ、血管条には HSV 感染と共にアポトーシス細胞が認められたが、コルチ器を構成する細胞の一部に HSV 感染は認められないがアポトーシス陽性である細胞が多数認められた。HSV 感染細胞がアポトーシスを誘導されるかどうかは、細胞の種類による異なることがわかった。
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