研究概要 |
(対象と方法)扁摘を行ったPPP患者11名から採取した口蓋扁桃、末梢血リンパ球、足蹠皮膚(肉眼的正常部分)を用いた。足蹠皮膚をSCIDマウス(CB-17系)の背部に移植し、口蓋扁桃あるいは末梢血から分離したリンパ球をマウス腹腔内に移入し、移植4週間後、移植皮膚および血液を採取した。移植皮膚を用い、ヒトCD4,IL-17,IFN-r,IL-10,HSP60の発現を免疫組織染色にて検討、また、血清中のヒトIL-6、IL-17, ヒトIFN-γ、ヒトTNF-α、およびヒト抗HSP60-IgG抗体価を、ELISA法にて測定した。(結果)PPPの扁桃リンパ球と皮膚を移植したSCIDマウス群では、移植皮膚の真皮乳頭部にCD4陽性T細胞の浸潤を多く認め、末梢血リンパ球移入群との間に有意差を認めた。浸潤Tリンパ球数と、SCIDマウス末梢血中のヒト抗HSP60-IgG抗体価の間に有意な正の相関を認めた。移植皮膚に浸潤したTリンパ球のうち、IL-17の発現を認めるTh17細胞が確認されたが、IFN-rやIL-10を発現するリンパ球はほとんど認められなかった。また、これらの移植皮膚にTリンパ球浸潤が確認された症例では、確認されなかった症例に比べて、ヒト抗HSP60-IgG抗体価、IL-17、IL-6が上昇していた。(結論)ヒト/SCIDキメラ・マウスの移植実験でPPP患者の扁桃リンパ球が移植した足蹠皮膚に直接反応し浸潤する現象は、PPPの無菌性膿疱発症の初期段階におこるリンパ球浸潤を反映していると考える。今回の結果は、PPPの発症において、扁桃リンパ球のHSP60に対する自己免疫応答が重要であること、Th17が中心的な役割を果たしていることが示唆された。
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