研究の目的は人工物とラットの蝸牛らせん神経節(SG)細胞の軸索との間に人工シナプスを形成させることである。今回分かり得た事項は以下の通りである。1.神経成長因子でコーティングしたビーズと何もコーティングしていなビーズの作用を比較した場合、前者に対してSG細胞の軸索が接触し易かった。2.コルチ器周囲の細胞群がSG細胞の伸長を妨げた。3.軸索とビーズの接触点にシナプス特異的分子の確実な発現は示せなかった。4.SG細胞をとりまく環境(蝸牛恒常性)維持が蝸牛内細胞、組織再生に非常に重要である。5.上記結果を考慮するとやはり難聴後の治療に加え、難聴発症の予防と要因の研究が重要であると再認識させられた。
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